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安田 萌音 × 角谷 郁恵 「偶然を築く」

会期:2022年4月23日(土)〜5月8日(日)
会場:KATSUYA SUSUKI GALLERY
Photo:Hide Watanabe

KATSUYA SUSUKI GALLERYでは2022年4月23日(土)から5月8日(日)まで、安田萌音と角谷郁恵による2人展「偶然を築く」を開催いたします。
自然物である土の「ひび割れ」という自然現象を引き起こすことで、絵画作品を作り上げる安田萌音と、紙の上に色を流し込む事から生じる滲みや混ざりなどの偶然性から、自然物である石の肌理を表現する角谷郁恵。 2人の作品制作のプロセスを考えると、「偶然」を「築く」というこの矛盾を孕んだ言葉の組み合わせは、2人の作品をあらわすまさに最適解と言える言葉であると言えます。
作品制作の過程における自然物と人工物の往来のアプローチは、ある意味対極ではありますが、クロスオーバーした2人の作品のプロセスを辿ると、そこには交差する幾つもの「点」があります。 安田萌音の「ひび割れ」と角谷郁恵の「石の肌理」という、それぞれがあえて偶然性という現象を引き起こすというプロセスの先に、2人は自然物、そして現象の本質を抽出します。 さらにそこに生じた偶然性という現象に単純に委ねる事なく、それぞれの意図を織り込み、安田萌音のデザイン的な視点による土でありながらの整然とした作品、そして角谷郁恵の石でありながら紙の繊細さを宿した作品という形で昇華されます。
そこからも現象や秩序に対する深い関心が、2人に通底していることが感じられます。

「築く」という言葉を辞書で調べると「土石を積み上げて作ること」と定義しています。

初めての顔合わせとなる安田萌音と角谷郁恵という2人が、どのような空間を築き上げるのか、この機会に是非ご高覧下さい。

 
【作家ステートメント】
人が作ったもの”と”自然が作ったもの”の差異は何か。
人の意思の介在の有無という点において、成り立ちが大きく異なっているはずだ。
自然に存在しえない形を人が創り、人が想像しえない形を自然は創る。
私の作品では、泥土を支持体の上で再構成してひび割れを起こし、自然の再現を試みる。
再現された自然は、人工的な形の象徴としての四角形に押し込められ、”人が作ったもの”と”自然が作ったもの”が融解する。
私はその成り立ちの異なるふたつが混ざり合った混沌とした何かを築きたい。そして、私の作品は私の想像しえない形で萌芽する。
安田萌音

飛石は碧々と繁る苔の雲海に浮かぶ小島のよう。
軸をずらしながら組まれた石の上を渡ってゆくと、自ずと視線は回遊し、客人が意識せずとも庭の主人の思惑によって庭の情景を堪能することになる。
庭は主人の意図・意匠と自然物が成す偶然性・現象が合わさり一度切りの「間」を作り出す。
紙の上に幾重にも色を流しこみ、偶然性を引き出しながら、混ざり、滲み、揺らぎ、石の肌理や表情が生まれていく。紙の中に私の意図とそれを超えた現象が共存し始める。そこに現れるのは自然そのものではなく現象を抽出した秩序でありデザイン(庭)である。
新たなこの庭に飲み込まれるように、そして私自身が没入できるように制作をする。
角谷郁恵

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