Moeto
Yasuda
Exhibitions
都美セレクション グループ展 2025 「感性が自然に擬態する」
「感性が自然に擬態する」という着想は、「自然を描くとは何か」という問いに対する、私たちなりの答えだ。擬態とは、生物が他の動植物や環境に姿や様子を似せることを指す。ここではその意味を生物学的な枠組みを超えて、人間の感性が自然に限りなく近づこうとする行為として捉えてみる。そして、制作行為を「擬態」として読み解く。 本展では三者の作品を通じて、「自然を描く」という行為を見つめ直す。自然に対する感覚や姿勢は、三者それぞれに異なり、描かれる風景はしばしば記憶や身体感覚と重なり合う。制作のプロセス自体が自然の摂理と呼応するかのように構築されていく。 佐藤健太郎は、水や風の流動性を用いて、自然のもつ流れや循環のイメージを画面に定着させる。土田翔は、直写という表現手法を用い、自然との関係性を強めようと試みる。安田萌音は、土が乾いていくなかで生まれるひび割れを、自然が描く線として作品に取り込む。 自然は私たちの外側に存在するだけでなく、経験されたものとして内側にも存在している。本展に参加する作家たちは、単なる写実や風景描写にとどまらず、そうした複数の自然を捉えようとする。そして、「自然を描くこと」の意味を再考していく。
会期:2025年6月10日(火)〜7月2日(水)
会場:東京都美術館 ギャラリーB
開室時間:9:30~17:30(入室は閉室の30分前まで)
休室日:6月16日(月)
観覧料:無料
主催:ビッグ・ネイチャー・ペインティングス、公益財団法人東京都歴史文化財団 東京都美術館
助成:公益財団法人朝日新聞文化財団、一般財団法人神山財団
トークイベント
人類学者の石倉敏明氏をゲストに迎え、展示作品を起点に自然と芸術の関係性を探ります。
※手話通訳有
開催日: 2025年6月14日(土)
時 間: 15:00 - 16:30
会場: 東京都美術館 スタジオ
出演:石倉敏明、佐藤健太郎、土田 翔、安田萌音、柏倉風馬
参加費:無料
参加方法:事前申込不要
定 員:50名
BIG NATURE
BIG NATURE——直訳すれば「大自然」。この直接的な展示名は、一見するとふざけているようにも思えるかもしれない。しかし、この言葉は私たちが描こうとするものを、最も端的に表している。
"nature" という言葉は、「自然」だけでなく、「本性」や「本質」といった意味を持つ。「BIG NATURE」は、単に自然の雄大さを意味するだけでなく、私たちが根源的に持つ自然への感覚や、自然そのものの本質に迫りたいという思いも込められている。
本展では、屏風という伝統的な形式を用い、作品を向かい合わせるように展示する。もともと一双(二つ一組)であることが多い屏風が、三者の作品を並列することで、六曲1.5双ともいえる構成が現れる。(六曲とは6面分の屏風のこと)
屏風は、ギャラリーの壁から独立し、それ自体が空間を形作る。向かい合うことで新たな関係性と圧力が生まれる。絵画をただ「見る」のではなく、空間とともに「経験する」ものとして、対面する三つの作品がひとつの風景を成していく。
人間は自然の一部でありながら、同時に自然と対立する。この曖昧さと緊張の中で生まれる風景の見え方が、絵画にも影響を与えてきた。私たちは、このひとつの自然観をこれら作品によって体現してみようとする。
自然は単なる外的なものではなく、私たちの内側にも根ざしたものとして考える。それは単なるノスタルジーではなく、分断された関係を見直し、接続し直そうとする意識に近い。私たちの制作は、この関係性を探りながら「自然」あるいは "nature" に向き合っていくことだ。
会期:2025年3月11日(火)〜3月23日(日)
開廊時間:12:00~19:00(日曜日は12:00~17:00)
休廊日:月曜日
会場:トキ・アートスペース(〒150-0001 東京都渋谷区神宮前3-42-5 サイオンビル1F)
出展作家:佐藤 健太郎、土田 翔、安田 萌音
助成:一般財団法人神山財団
KAMIYAMA ART カドリエンナーレ2024~4年に一度の展覧会~
神山財団は「文化の向上・芸術の振興に貢献し、芸術が本来持つ“癒し”を追求する人材の育成」を目的に、全国の美術系大学院生を支援しています。2014年からこれまでに240名の若いアーティストたちに対して、奨学金や助成金の支給、展覧会への出展機会や学びの場、アーティスト同士の交流の場を提供し、成長をサポートしてきました。そして2024年、10年の節目として記念すべき第1回目の「KAMIAYAMA ART カドリエンナーレ」を開催する運びとなりました。
本展覧会では、歴代の奨学生であり、現在も第一線で制作活動を続けているアーティスト55名が作品を展示します。また、芸術分野で優れた見識をもつ審査員による賞も設けられており、彼らがこれまでに築き上げた成果を発表する場として、アーティストたちの飛躍を後押しします。同時に、当財団の奨学生たちの活動を広く知っていただく機会として、多くの方々にご覧いただけることを願っています。多様なアーティストたちの独創的な作品が一堂に集まる本展覧会を通じて、未来を担うアーティストたちの情熱と創造力が織りなす美の世界を、どうぞご堪能ください。
会期:2024/9/8(日)~9/15(日)
開場時間:10時~17時(入館は30分前まで、最終日15時まで)
休館日:会期中無休
入場料:入場無料
会場:上野の森美術館 (東京都台東区上野公園1−2 )
参加作家:秋庭麻里、渥見芽以、有馬莉菜、石原葉、市塚寛子、井上真友子、色川美江、大橋麻里子、岡田聡平、小野仁美、柏木健佑、草間奈瑠美、柏倉風馬、澤﨑華子、木床亜由実、粂原愛、後藤田絢子、小林あずさ、衣真一郎、佐藤健太郎、佐藤拓実、澤岡布紀、菅雄嗣、芹田真奈美、染谷浩司、谷本めい、谷口月冲、豊田奈緒、中村早紀、中村文俊、根本篤志、のぐちまさみ、橋口美佐、長谷川彩織、八谷アキオ、濵田祐、曵地聡美、福田絵理、ホリグチシンゴ、本多翔、益子未知、松原由加子、三鑰彩音、三木綾子、森千咲、森友紀恵、栁下綾香、安田萌音、やとうはるか、山内麻美、横井えり、吉野もも、吉原拓弥、與那覇健志、渡辺佑基
主催:一般財団法人 神山財団
協力:上野の森美術館
撮影:マエシロアヤノ
セントリペタル Part 2
ギャラリイKでは、三人展という展覧会の形に注目しています。二人展とも、多人数のグループ展とも異なり、特有の動的な関係性が生まれるからです。今回の三人展の題名「セントリペタル(centripetal)」は「求心性の」という意味の形容詞です。近代から現在に至る芸術の歴史は、その主題、方法、作者、受容者、地域などいずれの意味においても領域を広げ、拡散していく傾向にあったと言えます。しかし一方で芸術という言葉は、作り手にとっても、受け手にとってもある理想を想起させ、人間にとって大切な何かを象徴する力を持っています。多様に進化し、広がっていく力と同時に、共有されるべき中心に向けて引きつける力の存在を、三人の作家の表現の出会いの中心に感じ取れるのではないか、そのような問いかけをこの展覧会のテーマにしたいと思います。
会期:2023年5月29日(月)〜2023年6月3日(土)
会場:ギャラリイK(http://galleryk.la.coocan.jp/)
参加作家:小林花子、森 伽原、安田萌音
安田萌音 Moeto YASUDA [平面]
“人が作ったもの”と”自然が作ったもの”の差異は何か。
人の意思の介在の有無という点において、成り立ちが大きく異なっているはずだ。
自然に存在しえない形を人が創り、人が想像しえない形を自然は創る。
私の作品では、泥土を支持体の上で再構成してひび割れを起こし、自然の再現を試みる。
再現された自然は、人工的な形の象徴としての四角形に押し込められ、”人が作ったもの”と”自然が作ったもの”が融解する。
私はその成り立ちの異なるふたつが混ざり合った混沌とした何かを築きたい。そして、私の作品は私の想像しえない形で萌芽する。
会期:2022年6月4日(土)~12日(日)
会場:楽空間 祇をん小西
安田 萌音 × 角谷 郁恵「偶然を築く」
KATSUYA SUSUKI GALLERYでは2022年4月23日(土)から5月8日(日)まで、安田萌音と角谷郁恵による2人展「偶然を築く」を開催いたします。 自然物である土の「ひび割れ」という自然現象を引き起こすことで、絵画作品を作り上げる安田萌音と、紙の上に色を流し込む事から生じる滲みや混ざりなどの偶然性から、自然物である石の肌理を表現する角谷郁恵。 2人の作品制作のプロセスを考えると、「偶然」を「築く」というこの矛盾を孕んだ言葉の組み合わせは、2人の作品をあらわすまさに最適解と言える言葉であると言えます。 作品制作の過程における自然物と人工物の往来のアプローチは、ある意味対極ではありますが、クロスオーバーした2人の作品のプロセスを辿ると、そこには交差する幾つもの「点」があります。 安田萌音の「ひび割れ」と角谷郁恵の「石の肌理」という、それぞれがあえて偶然性という現象を引き起こすというプロセスの先に、2人は自然物、そして現象の本質を抽出します。 さらにそこに生じた偶然性という現象に単純に委ねる事なく、それぞれの意図を織り込み、安田萌音のデザイン的な視点による土でありながらの整然とした作品、そして角谷郁恵の石でありながら紙の繊細さを宿した作品という形で昇華されます。 そこからも現象や秩序に対する深い関心が、2人に通底していることが感じられます。 「築く」という言葉を辞書で調べると「土石を積み上げて作ること」と定義しています。 初めての顔合わせとなる安田萌音と角谷郁恵という2人が、どのような空間を築き上げるのか、この機会に是非ご高覧下さい。 【作家ステートメント】 人が作ったもの”と”自然が作ったもの”の差異は何か。 人の意思の介在の有無という点において、成り立ちが大きく異なっているはずだ。 自然に存在しえない形を人が創り、人が想像しえない形を自然は創る。 私の作品では、泥土を支持体の上で再構成してひび割れを起こし、自然の再現を試みる。 再現された自然は、人工的な形の象徴としての四角形に押し込められ、”人が作ったもの”と”自然が作ったもの”が融解する。 私はその成り立ちの異なるふたつが混ざり合った混沌とした何かを築きたい。そして、私の作品は私の想像しえない形で萌芽する。 安田萌音 飛石は碧々と繁る苔の雲海に浮かぶ小島のよう。 軸をずらしながら組まれた石の上を渡ってゆくと、自ずと視線は回遊し、客人が意識せずとも庭の主人の思惑によって庭の情景を堪能することになる。 庭は主人の意図・意匠と自然物が成す偶然性・現象が合わさり一度切りの「間」を作り出す。 紙の上に幾重にも色を流しこみ、偶然性を引き出しながら、混ざり、滲み、揺らぎ、石の肌理や表情が生まれていく。紙の中に私の意図とそれを超えた現象が共存し始める。そこに現れるのは自然そのものではなく現象を抽出した秩序でありデザイン(庭)である。 新たなこの庭に飲み込まれるように、そして私自身が没入できるように制作をする。 角谷郁恵
会期:2022年4月23日(土)〜5月8日(日)
会場:KATSUYA SUSUKI GALLERY
撮影:Hide Watanabe
安田萌音 個展 "Vestiges"
何かがそこにあり、 何かがそこからなくなった。 そこには痕跡が残された。 何がそこにあったのかを痕跡は語る。 何がそこからなくなったのかを痕跡は語る。
一貫してひびわれをテーマに制作をしています。 ひびわれは物質から水分が蒸発し、乾燥状態になる過程で起こる現象です。面白いところは様々な要素によって毎回違う表情が現れる点です。 私が介在し得ないひび割れを起こすことで、作品は私の手の届かないところで完成します。その作品は人工と自然の中間に位置すると考えます。
今回の一連の作品では、図形を切り出した型板を使用しています。型板の上に土を無作為に載せたり、クッキーのように型取ったりしています。
図形は複雑なものではなく単純な形を選んでおり、ひびわれはその図形の凹凸に沿って表れます。 そのひびわれは私には図形の痕跡のように見えるのです。
会場:ギャルリー東京ユマニテbis
会期:2019.9.2(月)‐9.7(土)10:30-18:30(最終日17:00)